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そんな彼女と皆で作戦を考える。
まずは二人、不安なら数名で遊びに行くとか、無難なところから発展させていったらどうかという案が出たあとで、
「あなたたち二人、余程のきっかけがないと動かない気がするのよ」
髪をかき上げ、槙さんが言い放つ。
「やっぱり間怠っこいのは駄目ね――臨機応変よ、上杉。わずかなチャンスを見極めて彼の心を掴んでいくのよ」
「は、はいっ」
結局、正攻法でいくことになったみたい。
ただ、上杉さんを見ていると……。
「時と場合によっては、少しあざとくていいかも」
私も意見を出した。
「だって上杉さんて可愛いんだもん。甘えられたら大抵の男の人は参っちゃうはずだよ」
それ同感ねと槙さんも頷く一方で、上杉さんは照れながら全力否定。
……でも、私は知らなかった。
上杉さんがこの時からすでに、彼女自身の魅力が招いた苦難に喘いでいたことを。
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