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三人でメールアドレスを交換したり、もうちょっと突っ込んだ恋愛事情――例えばパートナーと逢った日は何回するとかという類いのだいぶ赤裸々なやつ――をはしゃぎ気味に話していたら、
「遅くなっちゃったわね」
槙さんの一言で時間が戻ってきた。お店の閉店時間を二時間近く過ぎている。
「わ……愛さん」
「平気よー。私も楽しかったし」
席に来て、珱美さんとの裏話をぶっちゃけてくれていた愛さんはにっこり笑う。
「すみません、お邪魔しました」
「また来てねー。……さっき話してた、あの彼と一緒によ?」
「……」
恥ずかしそうにこくんと頷いて返す上杉さん。
「じゃあね、愛ちゃん。
「薫さん、また。皆、気をつけてねー」
バイバイと手を振る愛さんとお別れして、外に出た。
うわあ、肌寒い。
「ねぇ」
デッキを歩いて階段を上る前に、槙さんが私の耳に顔を寄せた。
「貴女のこと、唯ちゃんって呼んでいい?」
――もちろん!
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