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「大丈夫よ、唯ちゃん」
妄想が二次元に飛んだあげく、羨ましいとつい本音をこぼしてしまった私に薫さんはふふと笑って、
「長塚君にいっぱい愛してもらいなさい」
えっ?
……へっ?
「……」
それを一瞬リアルに想像してしまって、だらしなくにやけてしまったのはいうまでもなく。
ガレージの鍵を取り上げた私は、皆より先に部屋を出た。
駐車場からスクーターが一台なくなっているのを確認しつつ、ガレージ前に停めていた自分のバイクに向かう。
高岡さんは先に帰ったそうだ。
お店の前に停まった五台の車種はさまざま……ううん、大きく分けてネイキッドとフルカウルの二つ。
フルカウルの三台は揃って黒で威圧感が凄いし、ネイキッド側もやけに存在感が……
そこでやっと存在感の理由に気づいた。
排気量600以上の大型バイクしかない。
「……皆、いかついなあ……」
唯一の400㏄、私のSRがますます華奢に見える。
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