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上が騒がしくなった。
ぞろぞろと駐車場にやって来た皆は談笑しつつそれぞれのバイクに。
「皆さん、お気をつけて」
ガレージにバイクをしまい終えた私は皆に向かって手を振った。階段を下りたところにいる長塚さんとは、微妙な距離が空いている。
近未来的なフォルムの黒いバイクに跨がった薫さんに、
「週末だし、薫さんも変なのに気をつけて」
「ありがとう。またね」
うん、絵になる美女……ひたすらカッコいい。
お先にと挨拶を残して、まず薫さんが颯爽と駐車場を出ていき、
「お先に失礼します」
赤いモンスターは若菜のバイク――はにかみつつ手を振ってくれた彼女と渋いCBに乗った大槻さんが連れ立って出ていく様子を、
「南下してく。誘わないのかな?」
「あのムッツリチキン野郎、今回は上杉の家を確認するつもりだな」
「それってストーカー予備軍みたい」
「被疑者になるのは紙一重だぜ。相手に嫌われるかどうかだ」
こんなリアルな会話が聞こえて、私は顔を引きつらせたけれど。
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