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そんな時にいきなり肩を掴んだ手に驚いて、体が勝手に飛び上がる。
「体、もう洗った?」
済んじゃいました、と、口が咄嗟に嘘をついた。
そうだ、このまま出ちゃおう。
彼が出るまでには、きっといつもの私に戻ってるはず。
できるだけ明るく、
「私終わったんで、先に――」
そんな私を荒々しく振り向かせて顎を捉えたその人は、キスで私を黙らせた。
「……!?」
壁に押さえ付けられて、怖くてもがく。唇を離した彼は私を見据え、
「嘘つきになったな、唯」
面と向かって非難されて、どきんとする。
「……嘘って」
「五分そこらで風呂上がった試し、ないだろ」
――バレてます?
剣呑な雰囲気のまま抱き上げられて、寝室へ連れ込まれた。
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