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「――あ」
歓びより拒絶に近い声を上げていた。
穿たれるような二度目で上げた声は、完全に悲鳴だ。
いつもしてくれること――心と体を蕩かすような愛撫は一切なく、体を開いてすぐに入ってきた彼。
こんな風にされるのは初めてだった。
それでも彼に熟させられてきた私の体は、瞬く間に中で動くものの違和感を快感に換える。
激しい律動、高らかに打ち合わされる濡れた肌の音、止められない私自身のかすれた喘ぎの合間に時折聞こえてくる、かすかな息遣い。
そんな最中、彼が低く言った。
「……もっと、出していいよ」
何を出せというの――息もつかせてくれない彼に訊くと、即答された。
「声。出しなよ」
同時に深々と貫かれて、たまらずに声を上げる。
ああ。
――とても、淫らだ。
突然、荒々しかった彼が穏やかになった。
時間をかけて私の快楽を探り当てにくるいつもの心地よさに責められて、そっと息をこぼす。
それからは夢中になって何を声に出していたのか、わからない。
ただ、それは毎度のこと。
室内に小さく流れてるBGMが耳に入らなくなるくらい、私はいつも乱されるのだから。
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