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もっと先が欲しくて強張る体。息を詰めて、あの甘い悦びが訪れる瞬間を待つ。
「そろそろ?」
「うん、もうイッちゃう」
「イキなよ。――俺も、すぐだ」
低い囁きに混ざる、喘ぎ。
私を責め立てる動きは再び力強くなっている。
「ん――あ、やんっ……!!」
そうして私を延々と達させてから、彼も果てた。
いつしか空はうっすらと白んでいる。
ベッドの背にもたれてまどろみながら、つい先ほどまでの営みの余韻にぼんやり漂う。
二人きりになった時の気まずさは何だったんだろう。
彼が荒々しく振る舞った理由は何だったんだろう。
一方的にされたせいで後味は残っているけど、彼と愛し合った後の気怠い一時は変わらない。
無防備な彼を見つめているだけで胸が苦しくなるほどのいとおしさが湧いてくるから、このつかの間の休息、私は好き。
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