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何となく横を向く。
彼と結ばれた自分の影が、窓ガラスに映り込んでいる。
「やだ……」
「どうした」
恥ずかしくて、広い肩に顔を伏せた。
「窓に映ってる……やらしいよ……」
「……やらしいの、大好きだろう」
「……違うもん」
彼の吐息混じりの低い声は私を恥じらわせ、昂らせ、欲情を煽る。
唇を重ねながらちらりと思い出す、窓の中の私たち。
今もあんな風に動いて、求めて、愛し合って――
「やん、凄……っ」
快感に堪えられず声を出してしまった、その瞬間。
こんなに奥で……大丈夫?
ふと冷静になってしまったその時、一瞬止まった彼が寝室へ向かった。ドアを開け放したままスタンドを点け、私をベッドに横たえて責め続ける一方で、サイドテーブルの引き出しを手荒く開ける気配がする。
かさっ、と小さく何かの音がして、急に彼は私から離れた。
「……?」
気になって目を開けた私に、彼は固い声で言う。
「まだ……子供できちゃ困るんだろう?」
――何てこと。
「――長塚さん、待ってください」
咄嗟に跳ね起きる。
でも彼は話を聞こうともせず、私を手荒く臥せさせた。
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