揺れる思い

19/24
282人が本棚に入れています
本棚に追加
/522ページ
何となく横を向く。 彼と結ばれた自分の影が、窓ガラスに映り込んでいる。 「やだ……」 「どうした」 恥ずかしくて、広い肩に顔を伏せた。 「窓に映ってる……やらしいよ……」 「……やらしいの、大好きだろう」 「……違うもん」 彼の吐息混じりの低い声は私を恥じらわせ、昂らせ、欲情を煽る。 唇を重ねながらちらりと思い出す、窓の中の私たち。 今もあんな風に動いて、求めて、愛し合って―― 「やん、凄……っ」 快感に堪えられず声を出してしまった、その瞬間。 こんなに奥で……大丈夫? ふと冷静になってしまったその時、一瞬止まった彼が寝室へ向かった。ドアを開け放したままスタンドを点け、私をベッドに横たえて責め続ける一方で、サイドテーブルの引き出しを手荒く開ける気配がする。 かさっ、と小さく何かの音がして、急に彼は私から離れた。 「……?」 気になって目を開けた私に、彼は固い声で言う。 「まだ……子供できちゃ困るんだろう?」 ――何てこと。 「――長塚さん、待ってください」 咄嗟に跳ね起きる。 でも彼は話を聞こうともせず、私を手荒く臥せさせた。
/522ページ

最初のコメントを投稿しよう!