ふるえる指

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思い出すなんてしなくても、今でも瞼を閉じたらあの情景を映し出す。 映画のフィルムを巻き戻すかのように、必ず瞼の裏には白いドアが出てくる。 そして、そのドアに僕の右手を掛けるのだ。 そこで思わず目を見開く。 見たくない。 いや、もうあのドアは現実の目の前にはない。 だから思い出したくない。 あのドアの向こう側など。
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