始まりで終わりの日

7/9
前へ
/45ページ
次へ
「あ、ちょっと待って、ユウくん!」 慌てたようにバタバタと足音を響かせながら、 キッチンに置いてあった赤い保冷バックを両手で僕に渡した。 僕は思わずしかめっ面をした。 夏の暑い日。 いくら保冷剤を入れても、校庭の木陰に置かれたら状態はよくないのではないか。 夏休みになって毎日、口をすっぱく言ってお弁当はいらないと断っていた。 なのに母は、この日、夏休みになって初めてお弁当を作ったのだ。 イライラは増していた。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加