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「あ、ちょっと待って、ユウくん!」
慌てたようにバタバタと足音を響かせながら、
キッチンに置いてあった赤い保冷バックを両手で僕に渡した。
僕は思わずしかめっ面をした。
夏の暑い日。
いくら保冷剤を入れても、校庭の木陰に置かれたら状態はよくないのではないか。
夏休みになって毎日、口をすっぱく言ってお弁当はいらないと断っていた。
なのに母は、この日、夏休みになって初めてお弁当を作ったのだ。
イライラは増していた。
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