始まりで終わりの日

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「いらない」 僕は冷たく言い捨て、リビングのドアを閉める。 すぐにドアが開らき、年甲斐もなく唇を尖らせる母が呟いた。 「だって、今日は部会だけなんでしょ? 保管場所は炎天下の校庭の木陰じゃなくって、涼しい教室で部会だって、お向かいの柊くんが昨日言ってたわよぉ」 柊のやろぉ…またいらんこといいやがって。 産まれてからずっと向かいに住んでる、縁をきってしまいたいのに切れないあいつを思い浮かべて、眉を寄せた。 次会ったらあの透かした顔をおもいっきり抓ってやる。 学校でクールで通ってるあいつの痛みに捻れた顔を思い浮かべながら、 シューズの靴紐を結ぶ。
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