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私達は最後の場所にたどり着いた。
そこにはメールに書かれた通り、確かに城が出現していた。
紫と黒色で塗りたくられた壁は悪趣味としか言いようがない。
更に壁には草の蔓が大量に巻き付いており、その周囲にはおびただしい数の蝙蝠が飛び交っている。
なんだかお化け屋敷みたいだな。
ちょっと気持ちが悪い。
そしてその城を囲むように大勢のプレイヤー達が集まってきていた。
入り口に向かう部分だけが綺麗に空けられている。
おそらくプレイヤー達が故意に空けてくれているのだろう。
「おい、まさか俺達にここを歩けって言うのか?」
眉間にしわを寄せる杉浦さん。
でも手は耳を触っている。
怒った顔だがどうやら照れているだけみたい。
「えっ? この程度普通じゃん。なにを躊躇ってんの?」
「ゆみんちゃんは人になれてるから良いっすけどね。やっぱ僕達は照れくさいっすよ」
「うん、確かに」
朝霧さんは人混みに目を向けたまま、どこか落ち着かない様子で頬を掻いている。
「俺達は中に入れないし見送りだけだしなあ。だから、ここでいいかなー、なんて。はは……」
弱気な声を出す中谷さん。
「えーっ、中谷さんもあたし達と一緒に行こうよ。みんな、ね?」
「いやあ、それはちょっと……」
「……俺も無理」
中谷さんの発言に与一さんが便乗した。
「えー……」
陽子さんは不服そうな顔をしている。
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