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角を曲がる。
「八城さん、あれっ!」
翼君が前方を指さした。
その先に杉浦さん達がいた。
彼らは立ち止まり何やら話し込んでいる。
後ろを向いているため、まだ私達には気づいていない様子。
「おいっ、どうすんだ!? 舞がついて来てねえぞ」
「あの、僕が見てきましょうか? ……いや、僕が見に行っても良いですか?」
私の話題だ。
皆を心配させてしまったみたい。早く声をかけなきゃ。
すると陽子さんが手を挙げる。
「じゃあ二手に別れようよ。あたしと朝霧さんが舞ちゃんを探しに戻るから……」
「す、杉浦さんっ!」
私は彼女の発言を遮るかのように声を張り上げた。
「舞? いつの間に追いつい……って、なんで翼がそこにいるんだ?」
「ぬ……。た、確かに、ですよね。僕達は海津さんを探していたはずなのに……。何故に背後から登場なのか……という疑問で僕の頭はいっぱいです、はい」
翼君の姿を確認した陽子さんの顔つきが豹変する。
チッと舌打ち。
その後、ニヤッと小さく怪しい笑みを浮かべた。
……ヤバい。
なんだか物凄くヤバい気がする。
「翼ーっ!! このっ、心配させおってっ!」
田中さんが翼君の元に駆け寄ろうとした。まさにその時――。
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