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「どうなってんのさ、これっ!」
イライラをぶつけるように翼君は見えない壁を何度も叩く。
「翼君……」
すると隣に立っていた金田さんが私の背中をちょんっとつついてきた。
「えっ?」
「あ、あの、ですね」
「はい?」
「えっと。あ、あそこ見てください……あれは確か……」
檻の中には私達がまだ知っている者が――。
「あっ……タオール!!」
思わず杉浦さんに顔を向ける。
「あいつ、こんなところにいやがったのか……」
「……あっ! ねえ、あそこにいるのは田辺さんじゃないかな?」
「……!! 本当ですね、間違いないです。田辺さんです!」
……それに彼の隣に格が違う死神が一体。
おそらくデスチャだろう。
良かった。
みんなまだ生きていたんだ。
皆も助けがきたと思ったのかこちらに集まってきた。
「早く助けてやろう。おい、次はどうすれば良いんだ?」
杉浦さんに言われ、私は辺りを見回す。
サリフの話によれば、どこかに赤いボタンがあるはずなんだけど……。
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