【最後の城】

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彼は歩みを進め、しばらくして振り返った。 「私も最初はそう思いました。ですがそれだけじゃない気がするんです。……ほら、よく耳を澄ませてみてください。何か聞こえませんか?」 言われるがままに耳を澄ませてみるが、プレイヤー達の歓声しか聞こえてこない。 「いえ、私には何も……」 「そう、ですか……」 ノインにはいったい何が聞こえているというのだろう? 「とにかく気をつけてください。何が起きても打破する手は必ずどこかにあります。だから最後まであきらめないでください。すみません。私にはこんなありきたりな事しか言えないんですが……」 「そんなことないです。ありがとうございます」 打破する手は必ずどこかにある、か。 確かにそうかもしれない。
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