【犠牲と奪還】

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もうダメか。 そう思った時、 「ヒャーハッハッハッ!」 タオールの笑い声が。 「くっ、貴様……何をする!?」 「この俺様の風呂敷だ。お前にくれてやる。ヒャーハッハッハッ!!」 なんとタオールが核の顔面を風呂敷で包んでいた。 「おのれっ……!!」 核は怒り狂い、顔面に取り付けられた風呂敷をバリバリと引き裂いていく。 この間に田中さんの損失した体の部位が霧に包まれ、あっと言う間に元通りに。 体力は回復していないが姿だけは……。 『あははっ! 残り10秒。そこのおっさん、かなりの時間稼いでくれた。予想以上だ、ほめてあげるよ』 「サリフ……!」 こんな時に不謹慎な。 『よし、3、2、1……起動!』 サリフのカウントが終了すると同時に室内は目映い光に包まれた。 それと同時に、部屋内部が激しくフラッシュ。 これはなに? ……目が痛む、開けられない。それに頭もズキズキする。 しばらくすると、その妙な感覚は綺麗さっぱり消えた。 私はゆっくりと目を開ける。 ――えっ、ここは? 見慣れない大きな部屋。 もう黒のイベント内部なのか? 私は軽く辺りを見回す。 視野の先に尚美さんと金田さんがいた。 その側にお婆さんと子供が。 そしてその人達を守るように、男性と死神が陣取っていた。 あの人は……田辺さん? それにあの死神はデスチャだ……! 「八城さん、無事ですか!?」 田辺さんが手を大きく振ってきた。 「あ、はい! それよりも核は……!?」 ……おかしい。 どこを探しても核の姿が見あたらない。
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