【犠牲と奪還】

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「ねえ……。プログラムは削除されましたって出たんだけど? これはどういうこと?」 私達のやりとりを皆静かに見守っている。 ただ一人を除いては。 そう、殺気の満ちた目でこちらを見ているのは翼君。 内藤さんを失い、更に田中さんまで失いかけたんだ。 そのきっかけを作ったのはもちろんサリフ。 無理もないだろう。 『……ちょっと待て。今、プログラムは削除されたって言ったか?』 「ええ」 『そのほかの機能はどうなってる!?』 私は色々といじってみた。 「他も……うん、多分同じだと思うけど?」 『ちくしょうっ』 サリフの様子がおかしい。 「……これがどうかしたの?」 『核の仕業だ。黒のイベントからも抜け出せなくなってるとは。罠にはめたつもりが……反対にやられた!!』 「えっ!? ど、どういうこと? 説明して!!」 『見ての通りだ。黒のイベントじゃシステムが変わる。僕の仕組んだ設定が無効にされた今、激レア武器はおろか、魔法や技も使えない。圧倒的不利だろ、これは……』 「そんな! まだ何か方法があるかも……」 『じゃ、探せば? ……僕はここいらで退かせてもらうけど。勝率がゼロに等しい、やるだけ無駄だ。ま、後はあんたらでなんとかしな』 「えっ? それって、この世界から抜け出す方法があるってこと?」 『言っとくけど僕だけだ。誰にも教えない、だからお前ら全員ここで死ね! クククッ!!』 なんて奴なの。 「最低! あなたは本当に悪魔だわ!」 『アーッハッハッ! 最高の誉め言葉をありがとう。僕は違う方法で世界を支配する方法を考えるとするよ』 「……っ」 『……本当のことを言うと、ナイトメアは異次元に誰かの意志を反映させた世界なんだよ。核を殺し、その誰かを目覚めさせた時に終わる。……君らは設定を変えたからループする事はない。でもどっちみち悪夢の始まりだよ、アハハッ!』 サリフの笑い声と共に回線は途絶えた。 最後まで最低な奴だ。
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