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みんなナイトメアの画面を複雑な顔で見ていた。
そんな中、タオールは杉浦さんの側に、デスチャは田辺さんの側で浮遊している。
どうやらデスチャは田辺さんを優先して守る気らしい。
「あの、とりあえず武器になりそうな物を探しませんか? ないよりはマシだと思うんです」
私の提案に皆が頷き、周囲を検索し始める。
暫くして、
「役に立つかは分かんねえが……」
鉄の棒をまず杉浦さんが持ってきた。
「へっ、ただの鉄の棒かよ。俺様にはカマがあるからな! 今なら杉浦さんより強いぜ! ウヒャヒャヒャ、ヒャーッハッハッ!!」
「……」
タオールの馬鹿笑いは見事、杉浦さんにスルーされた。
今、笑うところじゃない。
そんな冷ややかな目で皆もタオールを見ている。
「うーん。ろくな物がないね。……金田さん、それは?」
「ほ、本です……」
その言葉に翼君が反応。
「は? あんた馬鹿? もっとマシなやつあるだろ。ほら、あれとかさ」
翼君は金田さんの本を取り上げ、代わりに鉄の板を渡した。
「あ、すみません……です」
それぞれ、武器になりそうな物を見つけ私の周りに集まってくる。
「あっ、尚美さん。鉄の棒まだあったんだね?」
「うん。……ねえ、舞ちゃん。もし私が核に食べられたらゴメンね。正直、逃げきれる自信もないし、倒せる自信だってないの……」
「そんな……」
俯く彼女の背中を宮沢さんが叩く。
「それは私も同じよ! でもやらなきゃ……。じゃなきゃ何も変わらないもの。ねえ、あなたも悔しいでしょ? 私は差し違えてでもいい。少しでも多くダメージを与えてやるわ。このまま終わるのは絶対に嫌!」
宮沢さんは強いな。
もう戦う事を考え始めている。
私も怖がってばかりじゃ駄目だな。
どこかに可能性があるなら……
私はそれを見つけなきゃ。
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