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「……なにこれ、ウザいし」
翼君は殺気の満ちた表情で私を見た。
う、ウザいって……私のことじゃないよね?
「あの、翼君?」
「そろそろ行こう。こんな茶番に付き合ってられない。……あんなのに食われて無事な訳ないだろ? 俺は惑わされないよ」
「う、うん、そうだよね……」
私は杉浦さんを見る。
「ああ、じゃあ行くか」
杉浦さんはお婆さんと男の子に目をやった。
「タオール、お前はこの二人を守れ」
「えーっ、俺は杉浦さんを……」
「これは命令だ。いいな?」
「へ、へーい……」
杉浦さんに睨まれ、タオールは渋々と二人の前に出た。
「では廊下に出ますよ。宜しいですか?」
誰一人、反対する者はいなかった。
「……扉を開けます」
田辺さんがドアノブに手をかける。
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