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美味しそうにどんどん料理を平らげていく紘一、
…………別にいいんだよ? 美味しそうに食べてくれてるから。
あんなに時間かけて作ったのに食べるのは一瞬だなぁとか、一つ一つ凝った味付けにしたのに一緒くたに食べたら味分からないよねとか、別に全然気にしてない………よ?
ちょっとだけ複雑な気持ちを抱えながら、それでもこうして一緒に過ごせる幸せに浸っていた。
「苓、ケーキはないの?」
空腹がある程度満たされたのか、思い出したように紘一が聞いてきた。
僕も甘党だけど、紘一は僕の上をいく激甘党、でも見かけに合わないからと外では絶対甘いものは食べない。
だから紘一の為に僕はせっせと甘いお菓子を作っては紘一の甘いもの食べたい欲を満たしてあげてる。
僕だけの特権かな?
「もちろんあるよ」
僕の返事にとろけるような笑顔になる紘一、やっぱり大好きだなぁ。
食事がおいしかったと僕を抱きしめ、キスの雨を降らしてくる紘一を何とかお風呂に追いやる。
一緒に入ると駄々をこねる紘一をお風呂に閉じ込め、後片付けをすませる。
手早くデザートの準備をしてから、部屋をナイト仕様に一にリードされ ているから、今日は僕がリード………は無理だから、せめてムード作りのお手伝い。
ライトを落とし、今日のために買ったキャンドルを配する。
女の子しかいないお店に入って、あんなに買う時恥ずかしい思いをしたんだから、せいぜい役に立ってくれなきゃね。
キャンドルに灯りをともし、紘一の浴室から出てきそうな気配を感じてから、テーブルの上にケーキとアイスクリームのデザートプレートを置きコーヒーを注ぐ。
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