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「ど、どうしたの結衣。そんなにボクが気に入らない?」
なるほど、奴は私が怒っている理由も分からないらしい。ますます許せんな。
自分がどれだけ私や先輩に迷惑をかけているのか、それすら自覚してないだなんて。
怒りが沸々と湧いてくるけれど、高橋を怖がらせてしまっては意味がない。作戦遂行の為に、今のところは抑えなければ。
無理に笑って、私は高橋に話しかける。
「ねえ、今日暇?良かったら私の家にでも来ないかな」
「ほっ、怒ってるわけじゃないんだね。今日は先輩も休みだし、バイトも休みだし、ボクとしても、久しぶりに結衣と遊びたいかな」
「私が怒っていない?バカな奴め……」
呆れて、今度は自然と笑う。私、怒るとかそういったレベルはすでに超越しているのにな。
ああ、これは自然な笑いじゃないや。怒りから来る笑みだ。
「え、結衣なにか言った?」
「別にー。さ、帰ろっ」
しかし、これから高橋が泣き叫ぶかと思うと胸もすくというものだった。
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