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この辺は田舎だからか、やたらと蝉が多い。照り付ける日射しと蝉時雨に追われて私たちは校門から出た。
ちなみに高橋は白と赤の体操服のままである。高校生にもなって体操服で下校って……。
高橋らしいと言えばそうなのかも知れないけれど、やはり何か女子として間違ってないか。
そんな元気っ娘は汗を流しながら私の方を向く。
「ボクは髪が短いから良いけど、結衣は暑くない?夏にロングのポニテは苦行でしょ」
「まあね。髪が長いと寝癖とかも酷いし、夏はいいことないよ」
「じゃあ何でそんな苦行を続けてるんだ!マゾ!?……まったく、結衣はボケが上手いんだから」
額の汗を拭いながらそう言い放つ高橋は、ニコニコ笑いながら私を見つめる。
高橋ごときに突っ込まれるとは私も落ちたものだ。
空が青い。雨は降りそうにないけれど、涙はこれから降り落ちるかも知れないな。
主にお仕置きのせいで。
もちろん、私の心は空同様に晴れ渡っていた。
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