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そんな紳士的な気持ちが暴走して手が付けられなくなり……今日に至るというわけだ。
告白する場所は既に決めてある。というか、先輩と二人きりになれる場所はそこしかない。
必然的に、僕は文芸部の部室に向かう。
放課後になると先輩はいつも部室で本を読んでいる。部員は他にもいるけど、いわゆる幽霊部員というやつなので気にする必要はない。
クラスのみんなが部活に向かう中、僕は夏服をはためかせて走る。思い切り爽快に走った。
暑い空気の中。今日を逃せばおしまいだという、訳の分からない強迫観念が押し寄せてきて。
やはり僕は、見えない何かにつき動かされて走る。
一歩進むごとに胸の鼓動は高鳴り、しかしそれは不安によるものではなく、希望と期待によるものだった。
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