僕と先輩

4/12
前へ
/25ページ
次へ
「失礼します、先輩っ!」 「いつもの如く元気いっぱいね。正直読書の邪魔よ」 文芸部のドアを開けると、古くなった本の匂いと共に冷気が僕の肌を刺した。 ついでに先輩の毒舌も僕を刺した。 めげないぞ……。告白するって決めたんだから! ここは男らしく、堂々と……。 「せ、先輩……あの、僕は……」 「嫌よ」 「実は先輩のことが――って早あっ!まだ何も言ってないですよ!?」 「聞かなくてもだいたい分かるのよ。だいたい、あなたってろくな話をしないでしょう。そりゃあ嫌とも言うわ」 「辛辣すぎる!でもそこがまた可愛いですね先輩っ!」 「頭、大丈夫?」 とりあえずドアを閉め、夏色の部室に入る。 イメージとしては僕の周りだけダークブラックになっている感じだ。 はぁ……。 鬱だ。先輩に拒否された……。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加