第0章

10/10
前へ
/14ページ
次へ
…… 静寂。。。 ここまで来て何も言わないのは悪いことくらいわかる。 だけど言葉に出すのが怖いのだ。 相手はやはり人なわけだし…。 ……ふぅ。 一息ついて口を開く。 「如月さん、あなたは人間をどう思いますか?」 とりあえずこの部長さんの意見が聞いてみたかった。 どんな人なのか、わからなかったから。 「……。そうね…。」 少し考えるような仕草を見せ、続けた。 「人間の存在は確実に地球に対して悪い影響を及ぼしてるわよね、だからその点では嫌い。だけど人って不思議なものよ?見ていて面白いわ。みんな全く違うんだもの。 あくまで私的な意見だけどね。」 そういってクスッと笑った。 ……。 この人はやはり不思議な人だ。 でも嫌いじゃなかった。 「じゃあ、如月さん。人は何のために生きて何のために死ぬんですか?」 今までずっと考えてきたことだった。 人間が嫌い、それは僕も同じだった。 生きる意味はいくら探しても僕には見つけることができなかった。 この人は…どう思うんだろう……? 「私にもそんなこと考えていた時期もあったわ…。」 如月さんは懐かしむように遠くの方を見つめていた。 「それは人それぞれじゃないかしら。『生きがい』を探してみたら?私には誰かを助けること、それが生きがいなの。生きるのも死ぬのも周りに迷惑を与えてしまう。それはもうしょうがない事だから割り切って、その分人を幸せにしたいと思ったの。 そうしたら私も少しは生きる意味があるんじゃないかなって。私にできることは話を聞いて自分の意見を聞くことくらいだから、この相談部を作ったの。」 その言葉はスッと心に沁みこんだ。 誰かの言っていた、「無い」という答えよりも。 「そうを考えている間だよ」という答えよりも。 如月さんの自分の意見。 それは実体験であるからなのか、ただ感心してしまった。 「ねぇ、あなたも生きる意味を探さない?この部活で。」 僕が部活に入る理由なんて、如月さんのその一言だけで充分すぎたのだ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加