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中庭に着くと、何人かのグループやらカップルらしき人達が散らばってご飯を食べていた。 加山が他の奴らから程よく離れた場所に立ち止まると、糸川の手を掴んだまま座るから、つられた糸川も座った。 「ほら、修も座って」 加山が手を芝生の上をポンと叩く。 「おう。」 俺が座ると、加山が「食べよ」と糸川に声をかけて、お弁当を広げた。 「糸川さんって名前、那緒ちゃんって言うんだよね?那緒ちゃんって呼んでもいい?」 そう、問われると、糸川はコクンと頷いた。 「じゃあ、私の事は由香って呼んでね!」 糸川は目をパチパチさせてから頷いた。 「じゃあ、俺の事は修って呼んで!」 加山の真似して言えば、糸川はまた目をパチパチさせて、ぎこちなく頷いた。
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