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あの日から、何となく糸川 那緒の事ばかり見ている自分がいる。
相変わらず、話しをしている姿は見ていないけれど、クラスの女子に話しかけられて、ちょっと緊張した面持ちで頷いたり、その後の緊張を解いた緩んだ顔や、本を読みながら、少し微笑んだり、泣ける場面なのか、目を潤ましたり…。
主張しない糸川の存在は当たり前にある物と同様にそこにいても雰囲気を壊すこともない。
ただ俺だけが、彼女の存在が無性に気になる。
「ねー、修ってば!」
「んぁ?」
突然腕を引っ張られて、そっちを向くと半ば呆れ顔の 加山 由香がいた。
「も~!さっきから呼んでるのにぃ。」
「え?あ、ごめん。気付かなかった」
むくれた声にとりあえず謝ると、俺のさっきまで見ていた、視線の先を見て、ニヤリと笑う加山。
「あ~、へぇ…ふぅん…」
「何だよっ?」
にやけ顔の加山にムカついて、睨むとさらにニヤニヤされた。
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