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「嫌なら最初から誘わないよ。
ってか、俺、そんないい加減なヤツじゃないよ。」
ため息混じりに告げると、怒らせたと思ったのか、糸川は肩をびくりと震わせた。
「ご、ごめんな…さい」
蚊の鳴くような小さな震える声で謝る糸川。
糸川を怖がらせてしまった事に気付いて、自分を蹴り飛ばしたくなる。
「怒ってる訳じゃないから、謝らないで…ごめん、怖がらせちゃったよね?」
糸川の顔を伺いながら告げると、頭を振って否定してくれた。
そんな糸川に感謝しながら
「じゃあ帰りに寄って行こっ」
重くなってしまった空気を変えたくて、わざと明るく言えば、糸川は「うん」と返事をしてくれた。
毎日一緒にお昼を過ごしているのに、俺の気持ちを全く気付いていない糸川。
まだまだ、糸川との距離が縮まってない事に気付いて少しへこんだ。
そもそも、糸川は自分が誰かに好意を寄せられるってことが有り得ないと思っているみたいだし…。
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