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   ※ ※ ※ ※  「糸川、おはよ」 いつもの様に挨拶すると「おはよう」と、小さな声が返って来た。 空耳か?ってくらい超小声だったけど、確かに聞こえた。 糸川を見れば、恥ずかしそうに俯いていた。 教室で、声を聞いたのは初めてで、きっと、糸川にしたら凄く勇気が要った事だろう。 「よく、頑張りました」 過剰反応はしてはいけないと思って、さりげなく糸川にしか聞こえない様に小声で言えば、黙って頷く糸川。 本当は頭を撫でてやりたかったけど、誰かにからかわれたら、糸川は困って固まってしまうだろうと、我慢して自分の席へ着いた。 糸川の方を伺えば、いつもと同じく読書をしていた。 時々、声をかけられて頷く糸川。 前よりは緊張していないのか、表情は幾分柔らかい。
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