454人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ
※ ※ ※ ※
「糸川、おはよ」
いつもの様に挨拶すると「おはよう」と、小さな声が返って来た。
空耳か?ってくらい超小声だったけど、確かに聞こえた。
糸川を見れば、恥ずかしそうに俯いていた。
教室で、声を聞いたのは初めてで、きっと、糸川にしたら凄く勇気が要った事だろう。
「よく、頑張りました」
過剰反応はしてはいけないと思って、さりげなく糸川にしか聞こえない様に小声で言えば、黙って頷く糸川。
本当は頭を撫でてやりたかったけど、誰かにからかわれたら、糸川は困って固まってしまうだろうと、我慢して自分の席へ着いた。
糸川の方を伺えば、いつもと同じく読書をしていた。
時々、声をかけられて頷く糸川。
前よりは緊張していないのか、表情は幾分柔らかい。
最初のコメントを投稿しよう!