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帰り支度を終えて、いつもの様に糸川に声をかけようと、糸川の席を見れば、次々と声をかけてく人達が見えた。
糸川は、声をかけられるたびに少し戸惑った顔をして頷いていた。
人の波が切れた頃、糸川の元に行くと、まだ身支度の途中だったみたいで、荷物を鞄に詰めている最中だった。
「…何か、今日は周りが賑やかだったね」
声をかけると、糸川は、緊張した面持ちで、顔を上げた。
俺の顔を見ると、
「…うん…びっくりした。」
と、表情を緩めながら呟いた。
こんな些細な事で、嬉しさが込み上げる。
それは、俺に気を許してるって事だろ?
「…あのっ…修くん?」
「あ、わりぃ。
考え事してた…って、今、名前で呼んだ?」
「あっ、ごめんなさい!」
確認すると、赤い顔して、慌てた様子で謝る糸川。
「あ、違うよ。
初めて呼んでくれたからびっくりしただけ。」
めちゃくちゃ嬉しかったし…。
俺の言葉にほっとした顔をする糸川。
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