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「…あるんだよ、それが。
こいつ、俺のだから、むやみに触んな」
我が物顔で初めて告げた言葉は、内心、めちゃくちゃ恥ずかしかったけど、顔には出さない様に苦労した。
だって、そんなのカッコつかないだろ?
「は?何?マジでぇ…。
何だよもうちょっと引っかき回したかったのにぃ」
心底残念そうに呟く矢口。
…コイツ、遊んでやがった。
「まぁ、いとちゃんが幸せならいいや。
もし、修に飽きたら俺のとこにおいで。」
にっこり笑って、糸川のほっぺを撫でる矢口。
「お゛いっ」
触んなって言った側から触る矢口を睨みつけると、「怖ーい」とおどけて去って行った。
実際のところ、矢口はどこまで本気だったのか分からないけれど、煮え切らない俺を叱咤してくれていたんだと思う。
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