声を聞かせて

９

「ふーん。真人にとっては、たいしたことないんだぁ」

加山の厭味ったらしい言葉に野田は、また溜息を漏らす。

「別にたいした事じゃねーだろ？」

始まった言い争いに糸川がうろたえる。

何なんだよ！？

「…あのさぁ、詳しい話し聞かせる気、無いならあっちでやってくれる？
俺ら付き合い始めたばっかなのに修羅場とかって、縁起でもない」

二人に向かって告げれば、
「ひどーい。修って冷たい！
那緒ちゃん、こんな冷たい男、さっさと別れちゃいな！」

と、とんでもない事を言う始末。

さっき、良かったって言ってたじゃんか…。
そう思ったけど、黙って二人を促す。

「だったら、ちゃんと話せよ」

「…真人が、浮気した。」

観念したのか加山がぽつりと呟いた。