2478人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
「クソがッ!!何だコレは!!」
ついに驚愕が怒りへと変わる。
圧倒的な理不尽。
圧倒的な力の差。
展開が早すぎて頭の回転が追いつかない。
どうすれば皆を助けられるのかーー。
それを思考する時間が足りない。
どんな状況でも相手の居所を正確に掴み、自然現象をも操って雷を発生させるなど、まるで神のような所業だ。
肉体能力のみで立ち向かう自分たちでは、到底太刀打ちできない。
勝てるイメージが浮かばない。
そして、
雷は再び降り落ちて、残った仲間をも消し炭に変えた。
もう目に見えて残っているのは恭司たちだけだ。
他の人間たちは皆散り散りになり、どこで何をしているのか分からない。
この短時間で、たった3回の攻撃で、日本国民はその半数以上が死に絶えたのだ。
他に残っている者もまだ何人かいるだろうが、雷が3回も連続して落ちた影響で煙が立ち込め、とても確認することなどできない。
声を出して居所を知らせれば良かったのかもしれないが、この急展開で皆混乱し、正常な判断など誰も出来ていなかった。
状況が、やり方が、戦力が、何もかもあまりに違い過ぎる。
向こうは一方的にこちらの居所を把握していて、こちらからはその姿すら拝めていないのだ。
そこに、
雷という高火力の遠方攻撃を意のままに放ってこられては、もう成す術が無い。
とりあえず逃走しか選択肢がなく、避けることも防ぐことも反撃することもままならないこの状況は、正に地獄と言っても差し支えなかった。
最初のコメントを投稿しよう!