悪いのは九日から学校を開始したお偉いさんである

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これは、とあるアパートに住む兄妹と住人達の日常の物語である。 20XX年四月九日、例年ならまだ春休みであっただろうが、生憎今年の九日は月曜日だった。 当然ではあるが、学生は勿論サラリーマンも朝から慌しく準備に勤しんでいることだろう。 ――そんな中、此処、紫季荘[しきそう]には、特に慌しい一室が存在した。 紫季荘103号室、そこには現在三人の兄妹が暮らしている。 「夏樹!いい加減起きないと遅刻するぞ!」 「うーぃ、あと三時間……。」 「……兄さん、それは放っといて。後で何とかするから。」 上から順に簡単に説明しておこう。 まず声を発したのは、今年から高校生になる春彦[はるひこ]。 その春彦に起こされているのが中学二年生の夏輝[なつき]、三兄妹唯一の女の子だ。 そして最後が小学三年生、末っ子の冬夜[とうや]。 ……以上の三人が、此処に住む『鈴村三兄妹』である。 何故三人暮らしなのか、というのは、今は割愛させてもらいたい。 とにかく、三人暮らしで始業式かつ長男の入学式と重なった為、忙しいのだ。 だというのに未だ起きてこない妹に、春彦は溜息を吐いた。 ……だが、彼だっていつまでも構ってはいられないのも事実だ。 仕方ないので着替えることにする。
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