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一方、既に身支度も学校へ行く用意も済んでいる冬夜は朝食を作っていた。
……とはいっても、パンを焼いて簡単なサラダや目玉焼きを作った程度だが。
そしてそれは先ほどの兄との会話中も行っていた為、既に出来上がっていた。
と、なれば……だ。
残っているのは、いつまでも寝ている姉を起こす、もとい、いつまでも起きない彼女に天誅を下すことだ。
冬夜は彼女の寝ている部屋に入ると、彼女の枕元へ立つ。
そして布団をはぎ取ると、露になった頭をスリッパで思い切り引っ叩いた。
スパーン、といういい音と共に、彼女の小さな悲鳴が聞こえるが、無視する。
「早く起きろ、このノロマが。」
そう言い残すと、彼は部屋を後にした。
……が、ものの五分後、彼女は勢いよく部屋を飛び出してきた。
既に着替えを終えている辺り、何だかんだ律儀だ。
「冬夜貴様何をするか!私の脳細胞を減らすんじゃない!」
「お前の脳細胞が減るのは困るけど、単細胞が減ってくれたら有難いね。」
「なんだと!?」
売り言葉に買い言葉だ。
そのまま取っ組み合いの喧嘩を始める二人を見た春彦の怒涛の声は、今日も紫季荘に響き渡った。
「今日も、鈴村さんの家は賑やかねぇ。」
アパートの住民達は、そんな兄妹達を今日も見守っている。
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