1人が本棚に入れています
本棚に追加
この瓦礫の下には、許されざる人間の罪が埋もれている。
家屋、会社、車、人間――
皆全て三年前まで当たり前のようにここにあった日常だ。それが今では見るも無惨な様相を呈して横たわり、あの惨劇を覆い尽くしている。
青年が瓦礫の上を歩くのは、そんな人間の罪を忘れぬためでもあり、全てを乗り越え、明日を切り開く自分を見失わないためでもあった。瓦礫が崩れぬよう一歩一歩ゆっくりと、しかし着実に進んでいく。
不意に、一羽の烏が舞った。
最初のコメントを投稿しよう!