第1章 中2の春

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「‥‥‥ここ、あたしん家」 隣の彼にドキドキしてたら、あたしの家の前だった。 「あ、まじで。じゃ、傘貸して?明日学校で返すからさ」 「あ、うん」 傘を彼に渡して慌てて玄関へと走る。 「じゃ」 「うん、ばいばい」 軽く手を振る。 「‥‥‥」 え、家、そっち? 彼は迷うことなく、来た道を引き返す。 「家、近くじゃないの?」 雨なんか気にせずに、道路に出て彼に叫ぶ。 そしたら彼は、小走りで戻ってきて、 「俺、そんな事言ったっけ?」 なんて無邪気な笑顔を向けてくる。 そっか、マキ君は、本当に優しいんだ。 本日2度目の相合い傘は、彼の優しさを感じた。
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