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つまらない日常
「――ン―リ―ッン・・・・・いい加減起きなさい凜!」
―――――――ハッ!!!
・・・・・なんだ。
今のは全て夢だったのか。
でも妙にリアリティーがあってびっくりしたな。
半分寝ぼけながら起き上がる。
―――――――神音凜
この物語の主人公。
高校2年生。
綺麗な黒髪のショートボブ。
漆黒の瞳の持ち主で、彼女と目を合わせていると吸い込まれそうな感覚に陥る。
性格はサバサバしていて、成績優秀の美人なのでもちろん男子達の間ではアイドル的存在だ。
しかし彼女の冷たさに不満を抱くものも多くいる。
だが当の本人は今の生活に満足をしていない。
難しいお年頃なのだ。
「もぅ!起きるの遅いじゃない!いつもそんなだらだらしてるから冴えない子に育つのよ。」
近くで母親がキーキー騒いでいるのが聞こえる。
・・・わたしのことなんかほっといてほしいわ。
どうせ、わたしのことなんかただの厄介者としか思われてないんだから。
「・・・おはよう。」
それだけ言ってベッドから降りる。
「はぁ。あなたっていつも無愛想よね。もう少し愛想良くしたらどうなの?そのかわり花音はいい子ねー。優しいし女の子らしいし、お母さんの自慢の子だわぁ」
さっきのわたしに対しての態度とは一変、満面の笑みで花音の話をしている。
――――――神音花音
凜と4つ違いの妹。
凜とは正反対のくりくりの大きな瞳に茶色がかったやわらかなロングウェーブ。
これでスタイルも抜群なのだからモテないわけがない。
凜の同級生の中にも花音に恋をするものは少なくない。
わたしよりも可愛い上、性格も問題ないのだから母親が自慢したくなるのもわかる。
でも、わざわざわたしの前では言わないでほしい。
ハッキリ言って迷惑だ。
もちろん花音は大好きだ。
可愛いとも思う。
でもあまりに自慢されるとうざったくて仕方がない。
「お姉ちゃんおはよう!今日も大好き!!!」
なにも知らない花音はニコニコと話しかけてくる。
「おはよう。今日も元気ね。でもあんまり無理しちゃダメよ?」
わたしはそれだけ返してリビングに移った。
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