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「……………」
知らない天井だ、とは流石に言えなかった。
恐らく学校の保険室だろうか。
ピンク色のカーテンで、周りの空間から隔離されたベッドの上で、俺は目を覚ました。
「…完全に遅刻だな、これ」
左腕の手首に目を向けるも、時間を確認する事は出来ない。
そういえば俺寝坊して、腕時計家に置いてきちまったんだよな…。
後悔しつつも、取り合えず教室に向かわなければと俺はカーテンを開けて、本来の保険室の空間へ踏み入れた。
「お、目が覚めたか」
「…チッ、ハズレかよ」
「開口一番罵声ってどういう事だ!?」
事務処理の机から額を上げ、俺に声を掛けてきたのは無精髭の似合う渋いオジサマ。
名前を『平平 淳信(ヒラタイラ アツノブ)』と言う。
我等が1年4組の担任、そして『呪術抵抗学』の担当教師でもある。
「そういえば一時間目って先生授業なかったんだったな…クソッ」
「何でそこで露骨に悔しがるんだよ!
仕方ないだろ!今日才無鎖先生は親の看病で休みなんだから!」
ちなみにこの平平先生、信頼はされてるが尊敬は微塵もされてない。
教師として嬉しいのか悲しいのか、彼は毎日複雑な心境を抱えているのだと言う。
…まあ、俺には関係ないが。
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