出会い

3/21
前へ
/28ページ
次へ
このところ、ある噂が響子の通う高校で広まっていた。 響子が住む、袴田(ハカマダ)についてだ。 『袴田の裏山に通う白い男の子がいるらしいよ。』 『それが?怖い話っていってたじゃん。』 『いいから聞いて。その男の子、髪も肌も真っ白なの。 …なのに目は真っ赤らしいよ~。』 『え~?嘘くさ―い。あははっ。』 『まあ聞いてっ。そいつ、 背中にびっしり蛾をつけてたんだって!』 『おえ~、気持ち悪。でも、そんなのありえないよ。誰が作ったの?笑えな~い。』 『あたしも最初はそう思ったんだけど、袴田ってまだ養蚕やってるとこあるでしょ。 そいつが目撃された日にそこのカイコガが何匹も消えたって…。これ、確かな筋。』 『…えっ…じゃあ… 男の子の背中にカイコガが…? いやあっ!無理!気持ち悪いっ! 生物の教科書に載ってるのも見るのキツいのに~。』 『で、そいつの名前はね…』 「モスラくん…。」 響子は力なく呟いた。 上手いこと考えたなあ。どう考えてもガセなのにここまで広がるとは…。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加