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このところ、ある噂が響子の通う高校で広まっていた。
響子が住む、袴田(ハカマダ)についてだ。
『袴田の裏山に通う白い男の子がいるらしいよ。』
『それが?怖い話っていってたじゃん。』
『いいから聞いて。その男の子、髪も肌も真っ白なの。
…なのに目は真っ赤らしいよ~。』
『え~?嘘くさ―い。あははっ。』
『まあ聞いてっ。そいつ、
背中にびっしり蛾をつけてたんだって!』
『おえ~、気持ち悪。でも、そんなのありえないよ。誰が作ったの?笑えな~い。』
『あたしも最初はそう思ったんだけど、袴田ってまだ養蚕やってるとこあるでしょ。
そいつが目撃された日にそこのカイコガが何匹も消えたって…。これ、確かな筋。』
『…えっ…じゃあ…
男の子の背中にカイコガが…?
いやあっ!無理!気持ち悪いっ!
生物の教科書に載ってるのも見るのキツいのに~。』
『で、そいつの名前はね…』
「モスラくん…。」
響子は力なく呟いた。
上手いこと考えたなあ。どう考えてもガセなのにここまで広がるとは…。
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