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♪~♪~
響子の携帯が鳴った。
中学から一緒で響子の友達の中では1番仲の良い舞からだった。
「もしも―し。どうした~?」
「響子ちゃん、本当に明日裏山に行くの?」
相変わらずのあまり感情を見せない声。表情もそうなのだが、学校でも有名なクール美人だから、無愛想も映える。後ろはかなり短い前下がりの黒髪は田舎では珍しい髪型だ。
変わってるけど今までで一番馬が合うのよね。
ただ少し心配しすぎ。
「行くよ。今までだって通ってた山だから大丈夫。舞が心配してるのはあの噂でしょ。」
「そう。気味が悪いじゃない。何か嫌な感じがするの。お茶の稽古がなければ私もついていくんだけど…。」
舞の家も響子の家もこの土地に昔からある旧家だ。
特に舞の家系は格式高く、舞はいくつもの習い事をこなしていた。
両親とはあまり仲が良くないらしい。
昔そんなことを話して響子は舞の家で遊んだことがない。
響子は苦笑いした。
「予言みたいに言わないでよ。あの噂、ああまで大きくなると興味が湧くじゃない。それに暇だし。」
舞は始め黙っていたが、気をつけてね、と念を押された。
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