遠足

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黙って歩いていると、ゲームをしながら歩く男が横切ってきた。 「保也、誰?アイツ」 「ああ、アイツ?王 拓些(オウ タクサ)。 誰とも関わろうとしない変な奴だよ。ちなみに、今はまっているゲームは……」 「もういいっつーの。しかし、まー、場違いだな」 すると、相野が口を開いた。 「何のゲームやってるのかなー。いーなー。」 いやいや、相野よ、遠足中だぞ。 「何あれ、気持ち悪い」 本間だっけ?お前言い過ぎ。 ま、知ったことじゃないな。 無視していくか……。 「ねえ、君たち……」 4人とも足を止める。 「今、僕のことバカにしたよね」 「だから何?」 「……おい、計さん。ほっとこうぜ」 「僕をバカにするモブキャラは消えて……」 ドスッと俺の右ストレートが王の腹に入った。 「だまれ」 「ちょっと、王くん、大丈夫?」 相野は王に寄った。 あ……あれ? 「新土居くん、サイテー!」 …………!? 俺は…、俺は何てことを……。 それから後のことは覚えてねえ。 弁当?家に忘れたけど? 自由時間?いつの間にか終わったけど? こうして、俺と相野の距離は離れた。 入学して1か月。 俺は遠足のあの一件から学校へ行かなくなった。
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