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出来上がったカマクラは、不恰好ながらも上々の出来栄えだった。
「中暖かいよ~あずまお兄ちゃん。」
「へ?雪の中なのに?」
入ってみると確かに暖かい。
「だろだろ?」ムサシが笑って入ろうとするのを、あずまが慌てて止める。
「うわまて、さすがに入れねぇよ、壊れる。出るから待て(汗)」
「ぎりぎりいけるって。」
結局強引に入り込んできたムサシにあずまが溜息をついて場所を空けてやる。なんとか壊れずに済んだようだ。
「ん、レオン、どしたー?」
俯くレオンにムサシが声をかける。
「あ、ちょっと手冷たくなっちゃったなって、思って。」
あずまも視線を向ければ、レオンの両手が痛々しく赤く染まっているではないか。
「うわ、すぐに温めに・・」
いこう、と続けようとしたとき、カマクラの外で声がした。
「あずま様、いらっしゃいますか?」
「おぉ~カマクラ作ってたのか!」
セレと天翔の声にあずまがカマクラから顔をだす。
セレが湯気のたつマグカップを乗せたお盆を持ちたっていた。
「飲み物をお持ちしましたよ。・・・持ってきて正解でしたね。」
すぐにレオンの様子に気付いたセレが、レオンに温かいマグカップを渡してやる。
「はい、温まりますからね。火傷しないよう気をつけて。」
あずまとムサシもカップを受け取り、口をつける。濃い目に淹れられたココアに、ほっと息をつく。
「すごいな、このカマクラ、レオン坊ちゃん達でつくったのか。」
天翔の言葉にレオンは褒められたことが嬉しいのかはにかんだように笑った。
「うん、ムサシお兄ちゃんが教えてくれたの。」
「そうだぞ、俺も褒めてっ」
「・・・・えーと、ムサシ坊ちゃんもすげえなー?」
自主的に褒めろと言われて天翔は言葉に詰まった後にこっと笑った。
これでバットやあずまと同い年だと言うのだから驚きである。
満足そうなムサシにあずまとセレはちょっと苦笑いで視線を逸らした。
隊の者全員がこんなだと思われたくない。
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