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仕事をこなすためセレの自室に入室し、椅子に腰掛ける。
仕事の手伝いをする天翔は小さく声をかけた。
「な、仕事終わったら外行くん?」
「さっきそう言ったのが聞こえていなかったのか?お前の耳は飾りなのか。」
仕事に取り掛かりながら淡々と言うセレに天翔は渋面を作った。
「だってお前雪苦手だろ。」
正確に言うなら、冬にまつわるすべてのものが嫌いだった。
愛しい人を亡くした季節だから。
それでも行くのかと、天翔が問う。
「・・あずま様に私がウソをつくと思うのか。」
「・・・・・。」
いつもついてるじゃねえかとは思うがあえて言わないでおいてやる。
「皆さんといれば気も紛れるし、平気だろう。」
セレが小さく鼻を鳴らして言う。
それにどこまでもおせっかいで優しいお前が側にいるから大丈夫だ、と心の中でつけたす。口に出して言ってなどやらないが。
「そうか。じゃ、とっとと終わらせて外行くか!」
「その為にはさっさと手を動かせ。」
笑顔で言う天翔に書類を整理する手を休めることなくセレが言う。
「これ、お前の仕事だよなぁ・・?」
思わず愚痴を零す天翔にセレが射るような視線を向ける。
「何か言ったか。」
「あ、いや何でも。」
慌てて書類と格闘をはじめた天翔を確認してから、セレも書類を終わらせる為作業を再開したのだった。
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