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ボロアパートの階段を降りていつもの道を歩こうと足を踏み出したとき、視界の端に綺麗な金髪が写った
目を向けるとボロアパートのゴミ捨て場のゴミの上に全身傷だらけの不良がいた
「…………」
目はうっすらとだが開いていることから起きてはいるのだろう
ここは裏道のような場所だ
人が通ることは滅多にない
だから普段は静かな夜も昨日は珍しくうるさかったな、と思い出した
その原因は恐らく目の前の不良なのだろう
暴力は嫌いな俺は普段なら絶対に関わることはしない
………しないはずだったんだ
「………何してるの?」
気づけばしばらく見つめた後、勝手に口がしゃべっていた
内心慌てたが表情には出さず必死でこの場をどうするか考える
不良に質問を投げ掛けたところで答えが返ってくるわけがない
だからといってこのまま何事もなかったかのように通りすぎるわけにはいかない
何しろ目の前にいる不良は怪我をしているのだ
放っておけるわけがない
じゃぁどうするのだ、と自問自答を繰り返しているとボソリと聞こえた声に我に返る
「…………………日向ぼっこ」
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