MASQUERADE

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気が付いたら僕は城下町のCDレンタルショップに居た 気が滅入る時は好きな曲を聴くのが僕のやり方だ、今回は気を奮い起たせる為にヘヴィメタでも借りようと色々手に取ってみた 目当てのCDをいくつか借りて再び外の風を浴びた時、入り口近くに一人の赤いヘイホーが座っているのを見つけた 「あ…」 僕は彼を見て思わず声をだした 彼は僕を知らないだろうが僕は彼を知っている 名前はポイヘイだっただろうかホイペイだっただろうか…親友同士で名前が似ているだけあって資料がないと思い出せない 「何見てるんだ?」 彼が話しかけてきた どちらだったかと名前を考えているうちにどうやら彼を資料の一つとしていたようだ 「あぁ、ポイヘイかホイペイかって思っただけだよ、君ともう一人いたよね、そのヘイホーと名前が混合しちゃって…」 「俺はホイペイ、ポイヘイは青い方だ」 「あぁ、そうだったね、ありがとう」 「ところでポイヘイはともかく何で俺の名前を知ってるんだ?」 初対面のはずだ、とホイペイは続けた 僕は僅かに笑みを見せ自分の胸に指先を当てた 「僕はクッパ軍で情報屋をやってるんだ、だからだよ 聞いたことない?ジャッセの情報屋って」 「あぁ、お前が噂のテレサか その割には挨拶代わりに情報をひけらかしたりしないんだな」 「あぁ、テレビではよくあるね、もちろん僕は君達の情報もいくつか持ってるよ、君が知ってることも知らない事も でも歌手が自らを歌手だって言う時、作りかけの曲を見せながら自己紹介なんてしないよね? そんな感じだよ」 「歌手ならCDとか見せればいいんじゃないか?」 「世に出た曲は周知の事実で、作りかけの曲は僕と少しの人しか知らない事実に例えてみたんだ、周知の事実なんか話しても意味はないよね?」 「あぁ…なるほどな」 ホイペイは特に興味も無さそうだった 当然と言えばそうである、今こうやって二人話しているとは言え僕と彼は初対面なのだ 実際先程までの会話でも、会話が始まる前も途中も終わった今でもそこを流れる空気は変わらない
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