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ある日、女の子は男の子に言いました。
「お庭もいいけれど、もっと外に出てみたらどうかしら?」
男の子は言いました。
「お母さんが危ないから駄目だって」
「そんなことないわ」
女の子は笑って言いました。
「人形劇が今、お外でやっているのよ?一緒に行きましょうよ」
しかし、男の子は首を振るばかり。
とうとう女の子は怒って帰ってしまいました。
次の日、女の子はまた遊びに来て言いました。
「近くでサーカスがショーをしているんですって。一緒に行きましょう?」
しかし男の子は首を振りました。
「お母さんがお外は危ないから、駄目だって……」
そしてまた女の子は怒って帰ってしまいました。
次の日には、誰もいないお化け屋敷。
その次の日には近くの湖。
その次の日には展覧会。
その次は深い森。
その次は…………
しかし、男の子は家の敷地から出ることはありませんでした。
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