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そろそろ帰ろうかと席を立とうとしたとき
店の扉が乱暴に開かれた
音の方向へ視線が一気に集まった
『よぉ、さっきの黒づくめヤローいるかぁ?』
店内を見回し、その視線と自分の視線がぶつかる
『さっきの礼に来たぜぇ』
さっきよりも相手の数は多く、全員武器を所持している
…ちょっとキツいかな
『めんどくさいけど、さっさとくれば?』
それを合図に下っ端がこちらに向かってくる
ちらりと店内を見回すとオドオドしている凛弥と何故かあくびをしながら料理を運んでいる刹汰が目に入った
1人目にアッパーを入れ、2人目の顎に蹴りを入れてやった
それでもまだまだ敵はいる
バラでは無理だと判断したのか、残りの下っ端が全員向かってくる
ダメもとで構えたが、彼らの攻撃は届かなかった
そろりと前を見ると、いつの間にか目の前には刹汰がいる
なんで、と思ってすぐに違和感を感じた
『人の店で暴れんじゃねーっつーの。しかもダチに手ぇ出してんじゃねーよ』
大丈夫か?と振り向いた彼の顔を見ず、自分の視線は彼の両手に注がれたままだ
それは毛に覆われ、狼のような長い爪をした手だった
『邪魔すんなよニーチャン?俺ら忙しいんだ、ったく、これから姫様も探さなきゃなんねーのによ』
『どーいうことだ?』
『反政府派のやつがよ、姫様に懸賞金かけてんだ。しかも姫様自ら護衛の目を盗んで単独行動してんだっつーからこんなチャンスはねーだろ?姫様なんて護衛がいなけりゃただの小娘だからな』
こいつらと同じような奴らが他にもいる場合、一般市民も巻き込まれている可能性が高い
早く潰そう、こいつ
それに、結構頭にきてんだ
『潰してやんよ、お前』
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