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なんかキレたらしいクロハは小声で潰す、潰すと呟いている
正直怖いんだが…
『刹汰、どけ』
助けてやったつもりだったんだけどなーと思いつつも凛弥のもとまで行き、その場を離れた
『分からせてやるよ!オマエが言った無力な小娘の力をな!』
クロハが叫ぶ
『いでよ!我が神獣、ギリア!』
クロハの前で発光しながら何かが形づくられていく
数秒後そこに現れたのは大きなネコだった
色は白に肌色で茶トラのネコを連想させる
体の色が薄いせいか、クロハと同じルビーに似た赤い目がハッキリと感じられた
そして、ギリアの視線に臆したのだろうか
相手の男はぺたりと床に座り込んでしまっていた
『ゆ、許してくれ、俺はもう闘えな…』
『は?何言ってんのオマエ?それで許されると思ってんの?マジで?バカなの死ぬの?あ゛あ゛?』
クロハの奴、暴走してないか?
パチンとクロハが指を鳴らした
それを合図にギリアが男に近づき右手を振り上げた
その手は容赦なく男の頭を床に叩きつけた
そしてギリアは店内に倒れている男達を器用に外に投げ出している
…出来たネコだ
一通り掃除を終えたギリアはゴロゴロと喉を鳴らしクロハに甘えている
凛弥とともにクロハに近づくと申し訳なさそうな顔を向けられた
『アハハ、悪いな、また店散らかしちまった』
『いや、それはいいけどよ…。相手がワリーし』
えっと…と2人でどもってしまった
お互い聞きたいことがいくつかあったのだ
しかし、それはまたも扉が開く音に邪魔されることとなった
よく扉が開く日だ、と呑気に考えるあたり、余裕ができたのだと感じる
入って来たのは黒スーツ御一行様だ
『姫様!そんな格好で何してるんですか!』
銀髪の黒スーツが叫ぶ
『あーあ、やっぱりバレちゃったかぁー』
ニャハハーと笑うクロハはさっきキレたときとも、出会ったときとも違っていた
『力を使えば我々にはすぐに分かります。まったく…。』
『クロハがお姫様だったんだ…』
びっくりしたーと凛弥は目をパチクリさせている
それを聞いた銀髪スーツは首を傾げた
『クロハ?誰のことですか?』
『あー、ごめん!それ偽名!ホントはねっ…』
『時間です。式典に遅れますので、また後日伺います。では』
『うわっ!やめろっ!』
クロハは銀髪スーツに担がれたまま店を出て行った
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