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しかしいつもなら開けて入ってくるのが、なぜかキィ、と少し開けると顔だけで中を覗いてきた。
俺と目が合ってハッとした顔、そしてギュッとした両目、そしてバンといきなりドア全開でその姿を現した。
「おはよう、おにいちゃん」
朝日の眩しさを背負ってはつらつな発声はとても眩しかった。開いた黒い瞳にも光を反射させて瑞々しかった。
「あはは、いつも元気だね亜希ちゃん」
名前は諫直亜希(いさなおあき)。
自分よりひとつ年下になるので俺は亜希ちゃんと呼び、彼女の方は小さい頃から変わらず「おにいちゃん」と呼んでいる。
兄妹のように親しい仲である、とは周りからも公認されているので、あまり呼び名も変える気がなかった。
仲良くしてもらってるご近所さん『諫直麺所』という麺専門の飲食店のひとり娘。
亜希ちゃんは俺の両親から世話を頼まれ、引き受けたくれた女の子だ。
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